マツタケ人工シロの形成条件の解明

森林の中では様々な生物が共生しています。その共生のひとつの形に菌根があります。菌根は菌類(菌根菌)と植物の根が共生したもので、一般に菌根菌は植物の根が届かないような場所の土壌から水分や無機養分を吸収したり、植物が直接吸収できない化合物を分解、吸収したりして植物の根に与えます。かわりに植物は光合成で作った糖類を菌類に与えます。このため、植物は乾燥や養分欠乏に対する抵抗性が高まるといわれています。菌根にもいくつか種類があって、外生菌根と呼ばれる菌根を作る菌根菌には大型の子実体(きのこ)をつくるものがあります。

日本人なら誰でも知っているというくらい有名なきのこにマツタケがあります。このマツタケも外生菌根菌の一種で、比較的土壌の痩せたアカマツ林でアカマツと共生しています。マツタケが栽培できない事はよく知られていますが、これはマツタケが外生菌根菌であり、マツタケが生きていく上で、エネルギー源であるアカマツが必要不可欠なためであると考えられます。近年の研究でマツタケとアカマツ実生の菌根を人工的につくり出すことができるようになりましたが、まだできた菌根を長持ちさせることはできていません。そこで、どうやって菌根を増やしてシロ(マツタケの菌糸と菌根の集まったもの)にしていくかについて研究を行っています。

また、アカマツ林の土壌の中でマツタケがどのように養分を獲得しているのか、マツタケはアカマツにとってどのような役割を果たすパートナーであるのかなど、マツタケの生態についてはまだわかっていないことが数多くあります。

2005.07.27
進藤克実

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人工的に作り出したマツタケの菌根

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