クズのSSR解析

クズは、秋の七草の一つとして広く一般に親しまれている、つる性の多年生草本です。とても旺盛な繁殖力を持ち、巻き付かれてしまった樹木が枯死することもあるために、林業的には防除が必要な害草でもあります。

私は、このクズに対して、分子マーカーを用いた解析を試みています。マーカーとして、SSRマーカーを作成しています。SSRは、DNAの塩基配列の中にある繰り返し配列のことで、同一種内でも繰り返し数の変異が大きいために、個体識別に利用することができます。

クズは、種子繁殖の他に、地表を這った茎の所々から根を出し株を広げるという、栄養繁殖も行います。そのため、茎が枯れて一見別個体のように見えても、実は全くのクローンである、という場合があります。SSRマーカーを用いることで、そのようなクローン個体がどれだけの範囲にわたって広がっているのかを知ることが出来ます。また、個体間の親子関係を知ることもできますので、花粉や種子の散布範囲も推定することが出来ます。この研究を通じて、クズの集団遺伝的構造と繁殖様式を明らかにできればと考えています。

2005.08.30
欅健典

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クズ

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