Mycopappus alni を接種したクロミサンザシについて,接種部付近の葉の裏面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察しました.また,葉の切片を作成し,菌糸を蛍光標識レクチン(F-WGA)で染色して蛍光顕微鏡で観察しました.その結果,M. alni の菌糸が気孔から植物体内に侵入することがわかりました(図2).
一方,ブナ科の樹種では,ブナとクリに対しては接種部をわずかに変色させる程度の病原性しかなく,コナラ属樹種に対しては病原性がないことがわかりました(図1-L, M).様々な広葉樹の樹種に感染するM. alniが,どうしてブナ科の植物には感染しないかはわかっていません.美味しくないんでしょうか?
2010.4.26
髙橋由紀子
論文:
髙橋由紀子・松下範久・寳月岱造. 2007. Mycopappus alniの病原性と宿主範囲. 樹木医学研究11: 126-127.
髙橋由紀子・松下範久・原田幸雄 ・寳月岱造. 2008. クロミサンザシ白粒葉枯病菌Mycopappus alni の5科の樹木に対する病原性と侵入部位. 日本植物病理学会報 74: 140-147