icon講義・実習の紹介



森林植物学(S1・S2ターム)

担当教員:福田健二,松下範久

講義の目標,概要

森林は樹木と草本植物,動物,微生物が複雑なネットワークを作って共存する生態系である.森林は一見すると永遠に同じ状態でそこに存在し続けているように見えるが,実際には個々の樹木が枯死と再生を繰り返し(更新),群落の構造や種組成自体も変化している(遷移).森林生態系の骨格ともいうべき樹木の種組成は,地域レベルでは地史や気候によって規定された植物相(flora)によって決まるが,実際の森林群落の組成と構造は,地形,地質や撹乱の歴史を反映している.森林群落では,それぞれの樹種が,進化の過程で獲得してきた生理生態的特性に応じてすみ分けており,樹種ごとの生理生態的特性を知ることは,森林群落成立のメカニズムや森林生態系の機能の理解のために必須である.一方,樹木は周囲の動植物や微生物との相互作用の中で生きており,なかでも従来あまり重視されてこなかった菌類の役割の重要性が明らかになってきている.森林植物学は,森林生態系の成立・維持のメカニズムの基礎を学ぶことにより「森林を見る目」を身につけることとともに,関連する科目である樹木学,森林生態学,造林学,樹木医学などへの導入となることを目標としている.

授業計画

  1. 植物の分類と学名
  2. 世界の植生帯と植物区系
  3. 日本の植生と主要樹種
  4. 樹木の形態・構造と生理
  5. 森林の更新と遷移
  6. 森林生態系における微生物の役割
    1. 森林生態系と腐生菌
    2. 森林生態系と寄生菌
    3. 森林生態系と共生菌
  7. まとめ

森林生態学(A1ターム)

担当教員:大久保達弘(宇都宮大学)

授業の目標,概要

授業の内容:森林を構成する個体以上のレベルの生物集団を対象に,それを取り囲む環境との相互関係について学ぶ.森林生態学は産業としての林業への応用に結びつく基礎科学として位置づけられるとともに,地球環境問題解決のための環境科学としての側面も有している.この講義を通じて森林の生物集団を生態系の中で理解する視点を養うとともに,併せて森林生態系への人間活動の影響についても学ぶ.

授業の到達目標:森林生態系の構造と機能を理解し,その構成要素である生物に関する生態系レベルの生物学的基礎と応用を修得する.具体的には,森林生態学入門,生態系の構造・機能,森林の分布と環境,森林の動態と樹木の生活史に関する基礎的事項,地球環境や持続的森林管理への応用課題について修得する.

授業計画

授業オリエンテーションの後,森林生態学入門,森林生態系の構造と機能,森林の分布と環境,森林の動態と樹木の生活史などに関する基礎的事項について学ぶ.さらに地球環境課題(アジアの森林減少・劣化の影響)や持続的森林管理(里山林の利用低下の影響)などへの応用課題について実例を紹介しながら授業を進める.


樹木学(A1ターム)

担当教員:勝木俊雄(国立研究開発法人 森林総合研究所)

授業の目標,概要

樹木は,森林においてもっとも重要な構成要素である.したがって,森林科学では様々な視点から樹木を学問の対象としている.樹木学とは,こうした森林科学だけでなく,植物学や造園学なども含めた木本植物に関する知識を体系化したものであり,きわめて広範囲な学問である.本講義では,森林科学において樹木を取り扱うために必要な基礎的知識を身につけることを目的とする.基礎的な分類とともに,主要な樹種についての各論を交えて講義する.

授業計画

  1. 樹木学における分類
    1. 分類体系
    2. 二名法と階層分類法
    3. 形態と分布
    4. 同定と図鑑の読み方
  2. 樹木学各論
    1. 日本産裸子植物
    2. 日本産ブナ科樹木

樹木医学(A2ターム)

担当教員:福田健二,松下範久

授業の目標,概要

森林や樹木は,人々の生活に欠かすことのできない文化的・経済的価値を有しており,その保全に対する人々の意識は,今後,益々高まると考えられる.樹木医学は,このような時代背景から登場した,緑の質を扱う,多くの研究分野にまたがる総合的な学問である.本講義では,樹木の健康性をいかに評価し,健全な樹木を維持管理するかについて解説する.具体的には,主要な樹木病害についてその概要を講義するとともに,現在,我が国の森林に甚大な被害を及ぼしているマツ材線虫病とブナ科樹木萎凋病について詳説する.また,現在顕在化している森林・樹木の衰退現象を取り上げて講義する.さらに,緑の文化財保全対策事業として誕生した樹木医の今後の展望について講義する.

授業計画

  1. 樹木医学の概念
  2. 樹木の構造と機能
  3. 樹木の生育環境
  4. 樹木の発病機構
  5. 樹木の防御機構
  6. 菌類の分類と生態
  7. 樹木の主要病害
  8. 世界的流行病
  9. マツ材線虫病
  10. ブナ科樹木萎凋病
  11. 樹木の腐朽病害
  12. 樹木病害の診断と治療
  13. 病害管理と農薬
  14. 樹木医の役割
  15. まとめ

森林植物学実験(S1・S2ターム)

担当教員:福田健二,松下範久,楠本大(田無演習林),久本洋子(千葉演習林),鈴木智之(秩父演習林)

実験の趣旨

森林植物学の基礎として,幅広く室内実験および野外実習を行う.室内実験の第一は,形態学・解剖学的手法を用いたもので,樹種の同定の基礎となる葉や花の形態的特徴や,樹木に特有な二次木部(木材)の構造を観察する.第二は,樹木や菌類のDNA解析法を習得する.第三は,樹木の防御反応などの生理学的性質を理解し,各種のストレスに対する樹木の適応機能を知る.第四は,生態系における生物間相互作用の解析手法を習得するため,共生関係としての菌根や寄生関係としての樹木病害を取り上げ,組織解剖や菌類の培養を行う.これらの室内実験と並行して,6月にはわが国有数の照葉樹林を有する千葉演習林において,7月にはブナを始めとする落葉広葉樹や亜高山性針葉樹からなる広大な天然林を有する秩父演習林において,野外実習を行う.

実験の内容

  1. 野外実習
    1. 暖帯林実習(千葉演習林)
    2. 温帯林実習(秩父演習林)
  2. 室内実験
    1. 樹木標本の作成法と樹木の分類
    2. 樹木の形態(葉・葉序,花・花序,果実)
    3. 各種顕微鏡観察法と樹木の解剖
    4. DNA解析を用いた樹木・菌類の識別
    5. 葉中の化学物質の定量と樹木の生理
    6. 樹木病害の診断
    7. 菌類の形態
    8. 菌根の形態
    9. 植物寄生性線虫の形態

last update: 2017/07/05

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